HOME > 296 > UK REPORT from No.296

topics

296    COLUMN    UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Pablo Moses
 
Greetings Friends,
●Blood and Fireは、新たな買い手を探しながらwww.boomkat.comというサイト上で有料配信を開始している。47曲入りのYabby Youボックス・セットの音源が僅か8ポンドなど、値頃感のあるアイテムも揃っているようだ。しかし、それに比べ、永らくUKのレゲエ業界を支えてきたJetstarには不幸な事が起こってしまった。レゲエ・ディストリビューターとして、業界No.1の地位を保っていたJetstar(正式にはJet Star Phonographics)は8月に倒産したのだ。この原稿執筆時点で、なぜこのような事態に陥ったかを同社は明らかにはしていない。従業員は退職金も支給されないまま、8月にいきなり解雇されたようだ。僕はJetstarの経営状況について、以前同社がアウトレット・セールを開催し、大量の在庫を信じられない程の低価格で放出していた時から、少々怪しいのではないかと勘ぐっていた。しかし、こんなに早く倒産してしまうとは思ってもみなかったのだ。まだ、相当の在庫はあるだろうし、オーナーのCarl Palmer(業界内ではMr.Pと呼ばれていた)が、Park Royal地区に建設した巨大な倉庫もある。この倉庫には十分な広さのオフィスに加え、1999年にはレコーディング・スタジオも開設された。
 
Jetstarは、HarlesdenにあったPama Recordsの小さな店舗兼倉庫で創業。現在の本社所在地に移ったのが1980年代後半の事だ。Pama RecordsはPalmer兄弟がかつて営んでいたレコード屋で、古い在庫の中にはお宝レコードがたくさん眠っており、UK中からレゲエ好きが集まってきた有名ショップだった。Park RoyalにオープンしたJetstarの流通拠点は、レコード・オーナーが仕入れたいものをカートに入れ、レジでチェックアウトするというスーパーのような形態を今まで保ってきた。しかし、この方法だと、レゲエのスペシャリティ・ショップ以外の(一般の店でJetstarまで出向いて商品を仕入れない)レコード店からJetstarの商品を注文する事が非常に困難だった。彼らの古い経営方針は、時代の流れについていく事ができなかった。例えば、ウェブ・サイトの必要性を感じながらも、そのノウハウが欠落していたために実現できなかったり、1990年代にはVP Recordsに代表される海の向こうの新興勢力にあっという間にマーケットを奪われたりしてしまったのだ。インターネットや“グローバル・マーケット”という言葉が出現するまで、VPは海を隔てた遥か彼方のアメリカにある、単なる小さな競争相手に過ぎなかったのだ。この“グローバル・マーケット”という概念をJetstarはついに理解する事ができなかった。これは、「タンス預金より銀行にお金を預けたほうが安全」と、銀行を信用しない人々を説得しているようなものだ。しかし、数々のアーティストがこの会社のお陰で活路を見出したように、JetstarがUKレゲエに残したものは大きい。Palmer一家には幸運を、そして、倉庫で働いていた従業員の方々には敬意を表したい。この倒産により、僕にはUKレゲエの未来が一段と憂鬱なものに見えてきてしまうのだ。
 

Alton Ellis - determined!
 
●「“Studio One Pete”が死んだ」と、知人から電話で知らされた。“Studio One Pete”ことPeterは、最近Soul JazzのStudio Oneシリーズの監修を手伝っていたりしていた。彼は、スーツケースに貴重なレコードを保存しておく熱狂的なStudio Oneのコレクターとして知られていた。僕は彼がGladiators 「Kicks」のオリジナル盤に、当時として破格の200ポンドを払ったのを覚えている。また、Coxsoneのダブプレートも多数保有していたらしい。僕は、2枚しか持っていなかったPama Recordsからの『Boss Reggae』のLPを、彼が持っていたレア・シングルを集めたテープと交換するはずだったのだが、その貴重なLPを入手した彼からは、その後何も連絡がなかったのだ。これでだけではない、思い返せば、彼と全ての取引が失敗に終わっているのだった。このLPの一件で、僕は彼に不信感を募らせ、二度と彼とコンタクトをとる事はなかった。今頃、僕がこのような事を書いているのには、おそらく彼には身内の人がいないと思うからだ。知人のコレクター達はPeteのコレクションがどうなるのか僕に訊いてくるのだ。もし、僕が死んでしまったら、人々は僕のレコード・コレクション以外にも何か思い出してくれればいいのだが…。
 
●数々のメジャー・アーティストが年末にかけてヨーロピアン・ツアーを組んでいるようだ。名前を挙げれば、Pablo Moses、Horace Andy、Alpha Blondy、Alton Ellis、Mad Professorらだ。フランスではDoctor Alimantadoが初のオフィシャル・ライヴを行う。面白そうだ。
 
●Wailing Soulsが再結成するという噂は本当だ。過去2ヶ月に渡り、アメリカでウォーム・アップのようなライヴを数回成功させ、新作アルバムをプロモートする長いツアーを組んでいるらしい。最盛期には、向かうところ敵ナシのヴォーカル・グループだっただけに、彼らが今どのような声を聴かせてくれるのか楽しみだ。
 
●Studio Oneの事に話題を戻そう。Heartbeatから再リリースされたLone Ranger『On The Other Side Of Dub』は要チェックだ。オリジナルものよりかなりお買い得な内容だ。『Original Studio One Masters』も、7インチのみで発売されたJohnny Osbourneの「Water More Than Flour」の「Tribute To Bob Marley」、Horace Andy「Skylarking」の「Screw Gone A North Coast」、Slim Smithの名曲「Never Let Go」に使われたオリジナルの「Answer」などレア・トラック満載だ。是非オススメしたい。

Till Next Time, Take Care......
  
(訳/Masaaki Otsuka)

top
top
magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

columns

GO BACK

ISLAND EXPRESS
UK REPORT
WHAT THE DEAL IS
PLAY IT LOUD
RECORDS & TAPES
RAW SINGLES
CHART
RING RINg RING
BOOM BAP
Day In Da West

columns
columns

columns
columns
columns
columns
page up!
Riddim Nation

"Riddim"がディレクションする
レゲエ番組「Riddim Nation
第19配信中!

Go RiddimNation!

nation