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THE MAZE

Moomin
Moomix
　
Interview by Norie Okabe / Photo by Hiroshi Nirei
　

1997年のデビューから10年以上、誰もが認める“イイ曲”を残し、レゲエ界屈指のシンガーとしてシーンの先端を走り続けてきたMOOMIN。その10年間の発表音源の中から、DJ BANAがセレクト＆ノンストップ・ミックスを手がけた『MOOMIX』が登場！　主役MOOMINに話を聞いた。
　
　「当初は通常のベスト盤っていう話が出てたんだけど、だったらミックスCDのほうがおもしろいんじゃないか、と。同じ1枚でも曲数を多くできるし、“流れ”があるっていうのは、すごく聴きやすいじゃないですか。どんな作品でも、やっぱり聴いてもらわないと何も始まらない。よりたくさんの人に聞いてもらえるような“聴きやすさ”を重視して、この形を選んだという感じですね」
　
これは、今回の『MOOMIX』のミックスCDという形態について尋ねた際のMOOMINによる返答なのだが、“聴きやすさ”といえば、それは、そもそもMOOMINの魅力のひとつであると思う。今でこそメジャー・フィールドで活躍するレゲエのアーティストは珍しくないけれど、MOOMINがデビューした1997年当時では稀なこと。翌年のファースト・アルバム『In My Life』は、そうしたレゲエ黎明期といえる時代でありながら、快挙というべきヒットを記録したのだ。これは、当時からの熱心なレゲエ・ファンを納得させるほどの仕上がりであったと同時に、レゲエという音楽に馴染みのない人までも届く、入り口的要素＝“聴きやすさ”があったからとも言えるだろう。そうして、MOOMINはその後メジャーに臨むレゲエ・アーティストたちにとっての道標ともなり、この10年間、多くの人をレゲエの入り口に導き続け、シーンの支柱的存在としてレゲエの魅力を伝え続けてきた。だからこそ冒頭の「聴いてもらわないと話にならない」という言葉も、ズシリと重い説得力を持ったモノとして迫ってくるというものである。
　
『MOOMIX』は、そうした10年間の濃密な時を、まさに“ノンストップ”でトリップするような作品だ。選曲＆ノンストップ・ミックスを手がけたのはDJ BANA。MOOMINとはINTER FMの番組をはじめ、様々な現場を共にしてきた旧知の仲だ。
　
「入れて欲しい曲は、初めに候補として渡してはいたんだけど、あとはBANAのやりやすいようにって一任して。やっぱりセレクターの感覚ってありますからね。それは俺にないものだから」
　セレクトされたのは28曲。MOOMINにとって「シングルにはなってないけど、改めて聴いてほしいと思ってた」というアルバム曲が中心だ。シングル曲としては「ネバギバ」、「夏の終わりのハーモニー」のみ。「いつもそばで（Rude Fish Mix）」など、シングル曲でもリミックス・ヴァージョンが選ばれていたり、“外仕事”も多彩に収録するなど、「おお！ この曲！」と思わずニヤリとするようなセレクションで、前号のインタビューにてBANA自らが「昔からMOOMINファンだった」と語っていたのもなんだか妙に頷ける。
　
「曲順も歌詞のトピックのつながりを考えて、ストーリー仕立てにしてくれてるんですよね。こうやって改めて自分の曲を聴いてみると、曲のつながりによって印象がすごい変わるんだなって。アルバムだとその世界観とか、トーンとか統一されてくるものじゃないですか。これは逆に1枚のトーンが整ってないっていうのがいい。それがミックスCDらしさ、“味”だと思いますね」
　
類稀なる膨大な数の名コンビネーションを残してきたシンガーとしての歴史もしっかり刻まれている。PUSHIMとの「過ぎ行く時間の中で」、RYO the SKYWALKERを迎えた「悲しみにさよなら」など自身名義作から、TAKAFIN「Guiding Muzik」、H-MAN「未知の道」など、その“声”をシーンから熱望され続けてきた証ともいえる数々のフィーチャリング・ワークまで、全14曲。共演アーティストから本作のために寄せられたシャウトも随所で登場するなど、MOOMIN“だからこそ”のリンクが楽しめる場面も用意されている。
　
加えてラストには、なんと新曲「White Night」も収録。プロデュースを手がけたNodatin（Wadada）をはじめ、葉山在住のミュージシャンが集って作り上げたという“オトナ”のラヴァーズロック・チューンだ。
　
「生まれ育った場所が海の近くってことで、海で見たもの、感じたものからイメージを膨らませて書く曲が多いんですよね。今までは夏の海ばっかりだったけど、これは冬に雪が海へシトシトと解けていくような静かなイメージ。季節はずれの海に恋人と二人っきりっていうシチュエーションがあれば、ぜひ聞いてほしいな、と。やっぱり一番はミックスCDならではの気持ちいい“流れ”を楽しんでほしいんだけど、1曲1曲自分のシチュエーションと重ね合わせたり、思い出に浸ったり、そういう視点からも聴いてもらえたら嬉しいですね」
　
「今後は？」と尋ねると、すでに現在、来年の新作リリースに向け、曲作り真っ最中なんだとか。
　
「これだけ曲を作ってきても、未だ作り方の方程式みたいのはみつからなくて。まだまだ未熟だって感じてますよ。人の感情って複雑じゃないですか。その細かいところだったり、深い部分だったり、伝えることは山ほどあるわけで、まだまだ満足してないですね。もっともっといろいろ経験して、そのときの気持ちをできる限り忘れないでおくっていうのが大事なのかなって思う。悔しいことも、楽しいことも。そうしていくことが、これからの歌につながっていくのかな、と」
　
「“のんびりいこう”とか歌ってるけど、意外と俺の人生もノンストップ（笑）」と笑っていたMOOMIN。次の10年へ向け歩みだした“止まらない男”のネクスト・ステップは、どうやら快調な兆しだ。
　
『Moomix』
MOOMIN
[Universal / UPCI-1073] ¥1,980 (tax in)
　


Moomin ワンマン・ライヴ 開催間近!!!
「Moomin Live Tour 2007 "SOWAKA"」
●11／2（金）大阪 Big Cat
　feat. Home G, Yoyo-C, NG Head, Mighty Jam Rock
●11／3（土）名古屋 Club Diamond Hall
　feat. Home G, Yoyo-C, Samurai Super Power
●11／11（日）東京 Shibuya O-East
　feat. Home G, Yoyo-C, Pushim, Ryo the Skywalker,
　Ken-U, Sunset the Platinum Sound
※前売￥4,500／当日￥5,000（共にドリンク代別）
［HP］www.universal-music.co.jp/moomin/