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294    COLUMN    UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Original Buju Banton, Early 1992.
 
Greetings Friends,
 
●レゲエ・ビジネスが、ゆっくりと死期にむかっている事を裏付ける事実が新たに発覚した。“No.1オールディーズ・レーベル”として君臨していたBlood And Fireが活動を停止したのだ。先日、同レーベルのウェブサイトとフォーラムが閉鎖された際には、様々な憶測や噂が飛び交った。「レーベルが活動を休止したのは、噂ではなく事実だ」と同レーベルの代表Steve Barrowはコメントする。彼は1990年代初め、Birminghamにベースを置くSimply Redのマネージメント会社のサポートを得て、Blood And Fireを興した人物だ。「現在のレゲエ・ビジネスの不健康な状態がこのレーベルの活動を停止させたのだ。多額の借金や負債もある。したがってリイシューの計画もない。だが、我々はこのレーベルを買収してくれる会社を探すことも考えている」とBarrowは続けた。Simply RedのヴォーカルMick Hucknellは、以前にレーベルが経営難に陥った時に、救いの手を差しのべていたらしい。しかし、彼でさえもサポートしきれなくなったのだろう。振り返れば、初期のリリースはBunny Leeモノばかりだったり、ジャケット・デザインがガラリと変わったり(レーベル発足当初からパッケージ・デザインを担当していた大手事務所のIntroとの契約を解除)と、徐々に精彩を欠いていった感がある。最近発売されたアルバムの中でも「Satta」と「Fisherman」を使ったワン・リディム・アルバムのように、これといって興味を引くものはなかった。音楽業界に身を置く様々な人間が口をそろえて警告しているように、今は音楽を売る事が非常に困難な状況だ。「シングルをカットしても、すぐにインターネットにアップされ、タダで世界中どこにいてもダウンロードされてしまう。戦う前からすでに負けが決まっているようなものだ。来年にはレコードを作る事自体に意味がなくなるだろう」と、あるプロデューサーは嘆いていた。この原稿執筆時にはBlood And Fireのウェブサイトは復活していた。Steve Barrowは新たなプロジェクトを見つけたらしい。しかし、同レーベルがこれからどのような道を歩むのか、まだ誰も分らないままだ…。
 
●音楽ビジネスの内、“音楽”ではなく“ビジネス”サイドの下落を象徴する事例として、『Ragga』マガジンの清算がある。創刊以来、フランスのレゲエ雑誌として国内の新進アーティストの紹介、ジャマイカやUKシーンのニュース等、クオリティの高い記事を掲載していた雑誌がなくなったのは本当に残念な事だ。ライバル誌『Natty Dread』はジャマイカン・レゲエとジャマイカン・アーティストのUKやUSでの活躍の事しか扱わない。フランス国内のアーティストには全く関心がないのだ。この状況は、国内アーティストの育成にも関わってくる問題だと思う。
 
●僕の友人であり、長い間ジャマイカで共に過ごしたこともあるYasus Afariが久しぶりにアルバムを発表した。彼は1990年代初頭にアーティスト&作詞家としてデビューし、Garnett SilkやTony RebelとともにChristian Souljahsの一員として活躍したのだ。偶然にも、新作の発売とほぼ同時に、Yasusの著作『Overstanding Rastafari』も彼のSenya-Cum社から出版された。彼は文中で、ラスタファリズムの変革と進化の歴史、ラスタファリズムが世界に与えたインパクトの大きさを簡潔に記している。サブタイトルの「ジャマイカから世界への贈りもの」が本の内容を正確に要約していると思う。詳細は彼のサイトwww.yasusafari.comで。
 

Original Buju Banton, Early 1992.Yasus & Muta - Rockers Awards Show, Kingston 1992.
 
●Marleyの子孫とレコード会社のIslandが、Bobの伝説を使用して、また一儲けしているようだ。『Exodus』のデラックス・エディションやUSBメモリー・エディションなど、最近発売されたアイテムをネタにして、マスコミはこぞってMarleyをとりあげている。『Mojo』誌では彼が表紙を飾り、MarleyはThe BeatlesやRolling Stonesと同じくらい偉大であるとか、彼がどのようにレゲエを歌ったか、または、どのような時にマリファナを吸ったか(!)など、意味のない事を延々と紹介しているのだ。BBCでさえも『Exodus』の詳細な曲目解説に加え、アルバム制作時にオンエアされたMarleyのドキュメンタリーを放送している有様だ。このようにマスコミが過剰なほどに彼を称えるものだから、一般の人たちはMarley=レゲエと思いこんでしまうのだろう。いくら彼と同じくらい才能を持ったアーティストが現れてもMarleyのかげに隠れてしまうのだ。
 
●「レゲエ特別考慮(思いやり)誓約書」なるものを、レゲエ・アーティストのヨーロピアン・ツアーを請け負う会社が共同で作ったらしい。これは、一部のアンチ・ホモ・セクシャルを掲げるアーティストのリリック、ならびに言動を抑制するために設けられたものだ。このままだと、人権擁護グループの活動が激化し、レゲエのツアーがUKとヨーロッパ本土で消滅してしまうかもしれないからだ。あまりにも、レゲエ・シンガーがホモ・バッシングに走るので、ホモ・セクシュアル人権擁護グループのリーダーOutrageのPeter Tatchellが、レゲエを“殺人ミュージック”と喩えたほどだ。Beenie Man、Capleton、Sizzlaは、すでにその誓約書にサインしたと伝えられている。彼らは、単にツアーのもたらす経済的な恩恵を受けたいばかりにサインをしたのだが…。しかし、Tatchellによれば、T.O.K.、Elephant Man、Bounty Killer、そしてVybes Kartelらはまだサインをしていないようだ。ちなみに「Boom Bye Bye」で前述の団体から初めて厳しく非難されたレゲエ・アーティストBuju BantonとShabba Ranksはサインをする用意があるようだ。
 Till Next Time, Take Care...
 
(訳/Masaaki Otsuka)

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