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293    COLUMN    UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Mad Professor
 
Greetings Friends,
 
●今年の夏のUKでは、史上最高の雨量を観測しそうだ。特に中部と北部では洪水の被害が相次いでいる。そんな天候の悪さをそのまま反映しているのがレコードのセールスが史上最低を記録したUKのレゲエ・マーケットだ。インターネットの影響だろうか、大手チェーンや個人経営のスペシャリティ・ショップがどんどん潰れていく。ラジオのDJがいくら新曲を華々しく紹介しようが、リスナーにレゲエの楽しさを伝えようが、UKのレゲエ業界は死の淵に立ってしまっているのだ。昔だったらヒット・チューンは簡単に何千枚も店の棚から消えていったのだが、今では、12インチや7インチはだいたい300〜500枚売れればいいほうだ。先日、友人がネット上にどれだけタダの音源が存在するかを僕にみせてくれた。その途方もない量に、普段パソコンをいじらない人間として多大なるショックを受けた。かつて僕が血眼で探していたStudio Oneのシングル(その中には、今となってはアナログで買うことは殆ど不可能なものもある)がネット上にあった。おそるべきことだ。
 
●Mad Professorはアーティストとして進むべき方向に加え、UKを離れてどこか別の国へ移ることを考えているようだ。現在、彼の収入の殆どは急激な値上がり前に購入した不動産の売却益によるものだ。Ariwa Studio 2もかなり前に改修され賃貸物件として稼動しているので、メイン・スタジオもそのようにして貸してしまったほうがいいのかもしれない。今こそ、財政的にも潤っているProf.が彼自らのヴィンテージ録音機器とともに新天地を求めるべきタイミングだと思う。実は、フランスにベースを移した僕やスペインに居を構えるPressure Soundsの Pete HoldsworthらがProf.の後押しをしている最中なのだ。これが人生というものなのか、皮肉にも僕らが仕事を続けられるのは音楽業界を衰弱させているインターネットのお陰なのだ! ネット時代の音楽ビジネスのやり方に遅れをとっているJetstar(僕もその中に入るだろう)などはこの止めようのない“進化”と共存する道を模索しなければならない…。
 
●そのMad Profはポータブル・マルチトラック・スタジオを携えて世界中を廻っている。これさえあれば各地で共演するDJやシンガーのダブ・ミックスがリアルタイムで可能になる。最近、僕が観た彼のショーにはAriwaレーベルの誇るルーツの女王Aishaが出演していた。彼女は長い間、ライヴ活動から遠ざかっていたが、その声の健在ぶりに感心した。Mad Prof.の身軽かつ自由なツアーのスタイルは彼のユニークなビジネス・センスによるものだ。この音楽業界不況下で生き延びていくにはある程度のしたたかさが必要なのだろう。
 

Peter Hunnigale
 
●Englandでのサウンドシステム・ビジネスはすでにアングラ化してしまったが、ヨーロッパ本土では次々に新しいサウンド・マンが登場しているようだ。彼ら若いDJたちはまだまだ駆け出しで、音楽の知識や曲のつなぎ方などに未熟なところがある。しかし、彼らの音楽に対する情熱は確かなものだ。最近、フランスで開催されたサウンド・クラッシュを観る機会があった。ファイナリストはTruths & RightsとPum-Pum Sound(おそらく彼らはPumの意味を全く知らずにネーミングしてしまったのだろう)の2組。当然のことながらTruths & Rightsは対戦相手のことを「Pussy Sound」と馬鹿にし続けた。この侮辱的な言葉の応酬にPum-Pum Soundのクルーの怒りは増していった。そのうえ、Truths & RightsはPum-Pum Soundが「ダブ・プレート以外の曲をネットからMP3方式でダウンロードし1枚のDVDに焼いてきたに違いない!」と言い放ったものだから、クラッシュはさらに険悪なムードになってしまった。両サウンドともアナログ盤のストックが少なく、ダブ・プレートを多用したのだが、それも20秒くらいしか聴くことができなかった!(僕はiPodを使ったクラッシュがあると聞いたこともある!) 観客の支持によりTruths & Rightが勝者となりバトルは閉幕。その後にはフランスのレゲエ界の重鎮や新人たちがステージに立った。Monsieur Lezard,、Brahim、Keefusに加えLaliと改名したSister Linaも素晴らしいパフォーマンスで観客を魅了した。ポルトガル出身のNunoによってオーガナイズされたこのイベントはかつてSaxon、Coxsone、Fatman、そしてHawkeyらがUKで毎週開いていたショウのように楽しい一夜だった。
 
●前述の通りUKのレゲエ・シーンは昔と比べて活気を失っているが、Peckingsのようなレーベルは充実したタイトルを精力的にリリースし続けている。彼らはTreasure Isleのリディムを積極的に使ってきたが、最近ではStudio Oneモノにも手を伸ばし始めた。まずは、Freddie McGregor「Homeward Bound」リディムにPeter Hunnigaleがヴォーカルを乗せたチューンを聴いてみてはどうだろうか。最も偉大なUK出身のシンガーのひとりであるHunnigaleを聴いて損はないはずだ。実際、彼は本当に心優しいヤツでもあるの
 
(訳/Masaaki Otsuka)

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