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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
MIX CD
 
1. V.A. / DJ Yutaka presents Death Row Mastermix (Victor)
DJ生活30周年を迎えたパイオニア=DJ Yutakaのそのアニヴァーサリー・ミックスCDは、何と“デス・ロウ”物。自身もメンバーであるライム・シンジケートのキャップを被り、例の椅子に座る…という衝撃のジャケもそうだが、クラシックをクラシックらしく聴かせつつ“こんな知られざる名曲もあるよ”と提示してみせるセレクション、そしてYutaka Fresh J時代(20年程前)にやっていたマスターミックス(曲間にビートを足したりして作り込む手法)、その全てに説得力がある。チャック・D・バンバータを始めとするシャウトを入れてる面子にも注目!
 
ALBUM
 
2. Finding Forever / Common (Geffen / Universal)

こちらも大ヴェテランのプロデューサー/DJ、JJの約5年ぶりとなる2ndリーダー作が完成。前作が割とソウルフルな要素が強かったのに対し、そのテイスト(フィリー!)を残しつつも、オールドスクール・リバイバル的なノリも意識した(フレッシュ・プリンスとの「Brand New Funk」のリメイクも)よりヒップホップ濃度の高い一枚に。ライムフェスト、ジーン・グレイ、ピーディ・クラックからメソッド・マン、ポス、ビッグ・ダディ・ケインまでと参加アーティスト顔揃れも興味深く、まさにMagnificent=JJならではの内容に。あのコスリも久々に聴ける!
 
3. Talib Kweli / Eardrum (Warner)
自身のレーベル“ブラック・スミス”ことワーナー・ブラザーズへ移籍した“真実の徒”タリブ・クウェリの最新作。クワメ制作の「Listen」や、ウィル・アイ・アムが「Funky Child」でお馴染みの“LAチームのテーマ”を引っ張り出してきた「Say Something」に、UGKが絡むソウルフルなトラックに倍速ラップが光る「Country Cousins」、ノラ・ジョーンズのヴォーカルがいいアクセントになっている「Soon The New Day」等々、いつになく“フック”の多い作りになっているが、不思議なまでの統一感のある会心のラップ・アルバム。マッドリブ、ジャスト・ブレイズ、ビート・ロック、カニエ・ウエストら相性のいいプロデューサー陣の仕事振りも◎。
 
4. T.I. / T.I. vs T.I.P. (Grand Hustle)
昨年ヒップ・ホップ界で一番多くアルバムを売った男、とはこのキング=T.I.。早くも登場したこの5作目は、成功者=T.I.とストリートでハッスルするT.I.P.という2つのペルソナを描きつつ、最後にはそれを対決させてしまうという凄絶なコンセプトに基づくもの。ジェイ・Zやバスタ、エミネム、ネリーにワイクリフ、とゲスト・メンバーも豪華な本作は代表作『King』に負けず劣らずの“濃度”を持つ、地に足着いたスターのアルバム、といった感じか。ハードなトラップ・ビーツから80'sリヴァイヴァル〜エレクトロ・モードとサウンド面でも最先端が詰まった本作でその“座”は更に揺るぎないものとなるハズ。
 
5. UNK / Beat'n Down Yo Block!y (Koch / Victor)

A-タウン=アトランタから現れた号令ラップ野郎=アンクの初アルバムが遂に日本盤化。“ワキラ〜”のフレーズでお馴染みのロング・ヒット「Walk It Out」や、2ステップ・ダンスをより広めた「2 Step」に、そのリミックス(前年はアンドレ3000+ジム・ジョーンズ、後者はジム・ジョーンズ、T-ペイン、E-40がそれぞれ参加)を中心に、A-タウンの魅力(ダンスを含む)を無理なく詰め込んだ本作は、明らかにここ数年のブームの流れにあるもので、その楽しさがワカる人には言わずもがなの好内容。CDエクストラ(P.V)とダンス解説のオマケも嬉しい。
 
6. Huey / Notebook Paper (BMG)
「Pop, Lock & Drop It」のヒットでセントルイスから飛び出した19歳の新鋭ヒューイのデビュー作。“G5”ダンスを流行らせた先のシングル曲(フックで言及してる尻フリのルーツはジャマイカ〜マイアミ?)を始め、ミッド・ウエスト〜サウスのシグネチャー・サウンドを散りばめた“オモロくて、ちゃんと踊れる”ビート群は総じてレヴェルが高く、そこにスターゲイトとT・ペイン、ジャジー・フェイらの“歌ゴコロあるトラック”が加わり、実体のバランスもかなり良い。肝心な主役のフロウも中毒性が高く、しっかり聴かせてくれる。
 
7. V.A. / Top Shelf (Manhattan Records)
ビッグ・ダディ・ケイン、ビズ・マーキー、スペシャル・エド、ダギー・フレッシュ、ジャングル・ブラザーズ、メリー・メル&キャズ、MCライト、グランド・プーバ、ブラック・シープ、ナイス&スムース…といったNY黄金時代(1〜2期)のオールスター達のロスト・テープ物。88年に暴動でその行方がわからなくなっていたマスターをあのファブ・5・フレディが発見し、今回目出たく“新譜”としてリリースされることになったのだが…。これが何ともアツい!! 当然ながら未発表モノばかり、なのだが数あるクラシック物と並べても遜色ない輝きがここにある。Golden、でFreshな奇跡の結晶、てな感じ。
 
8. Equal / King & Queen (Columbia)
名古屋のKingが通算4thアルバムをドロップ。本人が“熱めで派手な爆弾ばっかり”と豪華する位、今作はシンプルさを狙った前作『7Days』とは真逆の作り込みに徹したアプローチが随所に現れた大作感のあるモノ、となっている。それだけにコラボ物も大充実。Foxxi MisQ、F.O.H、Sorasanzen、Jamosa、そしてTokona-Xのヴァースを交えた、般若、AK-69、Akira、Macchoとのマイク・リレー等、これでもか!とばかりに仕掛けのある傑作。アキソルの名曲「Shotta Fire」のナイス・リメイクも!
 
9. Ozrosaurus / Hysterical (Higher Than High / Bay Blues)
超大作だった前作『Rhyme & Blues』に続く4thは初のインディーズ作品。だが、「どっから出ようとオジロザウルス」。「表現=言論の自由を守る為」にとられたその大英断は、本作のテーマと等号で結ばれるだろう。それ位、今作でのMacchoは危険である。しかしながら勿論ただ吠えているのではなく、そこにはビートという土台があり、それを乗りこなしながら言葉の波動をよりダイレクトに届ける、という一点に集中した感のある本作は進化し続けるハマの大怪獣ならではの重量感がある。まずは感じるベキ。
 
10. Hokt / Bad Boy Paradise (Universal)
North Coast Bad Boyzを始め数々のムーヴメントを起こし、地元札幌を盛り上げてきたノース・スター=Hoktが満を持してデビュー。Ariaのシングル曲等でもその個性をギラつかせていた彼がいかに華のある存在なのかは、あのラージなジュエリー類が無くてもハッキリと分る。S55、Lil'J、DJ PMXにTwo-Jと、信頼するプロデューサー/アーティストと共に作り上げた本作でも、色んな事を体験してきた者のみが語れる歌詞と、それをラップとしてカッコ良く聴かせる為のフロウという表裏一体の2大武器が炸裂している。ブレイクも間違いないトコロだろう。
 
11. Sugar Cru / Tha Street Addiction (Mo Hard Music)
レペゼン静岡のハードコア・ヒップホップ・ウォリアーズ=Suger Cruの初作。Goma Da Flybeats、Mush、Boukunの直情怪行なMC陣と、トラックを担当するPBLの4人からなる彼らは“黒”というテーマ・カラーをベースに“武脳派”さながらの有言実行=大和魂スタイル、男気一本勝負で「おひけえなすって!」と斬り込んでくる。ゲストはライヴ音源上での共演歴アリのTomogen(Doberman Inc)のみ、という徹底ぶりもどこかクイーンズに通底する(?)武骨さの現れか。ドープなビートの上で放たれるストレートなリリックはとにかく心を打つ。
   
12. Mint / After School Makin' Love (P-Vine)
ヒップホップ=ろくでなしのブルース、と例えたヒトがいるが、この男のろくでなし度は又かなり複雑(コンプレックス)? 韻踏合組合在籍時からソロ・アーティスト然とした異彩を放っていたミントのデビュー作が遂に完成。Evis Beats、Ryuja、Nao the Laiza、M.Hiroishi、N.I.、I-DeAという6人の異才に提示された“ノリ”もしくは“泣き”を重視したビートで、「こんなオレ」をプレゼンし続ける、その“キャラ被りはあり得ない”個性のカタマリがいかに天才的なのかは、DJ George(Forcus)による“ベスト・オブ・ミント”のスクリュー・ミックス盤の方でもよくワカる。これぞクル・ミント!?

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