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293    ARTISTS    FIRE BALL

Fire Ball
10 Years History
 
Text by Naohiro Moro / Photo by iGa-c
 


 
「Place In Your Heart」は、Jungle Rootsでキーボードを担当するDry & Heavyの外池満広氏のプロデュースで、ミックス・ダウンを同じくDry & Heavyの内田直之氏が担当。外池氏制作の温かみのあるトラックに、Crissの歌をフックにし、Chozen Lee、Truthful、Jun 4 Shotの3人がマイクを回していくという、前のシングル曲だった「Bird Man」を彷彿させるシンプルな構成で、メジャー・デビュー以前のFire Bを想起させる。内田氏のミックスも絶妙で、レゲエとしての高い完成度と、普遍的な楽曲としての良さを併せ持ったFire Bらしいメッセージのこもった1曲だ。シンプルな中にも、印象的なコーラス・ワークがさり気なく施されていたりして、2002年のメジャー・デビュー以来、様々な挑戦をしてきた、今の彼等だからこそ出来た曲な様な気がしてならない。
 
Fire Ballの結成は、当時、MC/エンジニアを担当していたTruthful(当時はまだSticko)のNYエンジニア留学からの帰国がひとつのきっかけだったという。
 
「オレらが97年にやった『火と拳ツアー』の頃には、もうFire Ballを名乗っていたと思うよ。オレが帰って来た年だから。Simonと2人で『Fire Ball』って名前はどう?って言ったんだよね」(Truthful)
 
当時のメンバーは、Criss、Lee、Junの3人。これを機会に、3人で構成されたステージが増えて行く。コンピCDなどで作品が多く発表されていたChozen Leeは、既に注目が集まっていた時期の様に思う。
 
「最初の頃やってたのは、単純にマイク・リレーだったね。Crissの歌をフックに、間のヴァースを持ち歌で埋めていくみたいな」(Chozen Lee)
 98年にYoyo-Cがロンドンより帰国、翌99年にFire Ballに加入。Crownのサウンド・プレイの一翼を担っていたStickoがアーティストTruthfulとして更に加入。5人体制となったFire Ballの存在感は増していった。それを象徴する様に、2000年には日比谷野音の「Soul Rebel」にFire Ballとして正式に登場。この頃の唯一の全員参加曲「We Are Fire B」は、CD化されたライヴ音源「Soul Rebel 2000」に収録されている。
 
同じ2000年、画期的なテープ作品『Life Style』の発表に続き、レーベル「Life Style Records」を発足させたMighty Crownは、本格的に音源制作を開始。まずはインディーズ・レベルでのコンピレーション・アルバム『Life Style Records Com-pilation Vol.1』の制作に着手。その主軸は当然Fire Ballだった。ここで現在のFire Ballのスタイルを最初に表現した曲「Fire Ballのテーマ」が作られた。5人のキャラを損なうことなく、複雑に絡み合いながら疾走していくそのスタイルは、ソロ集団だった彼等が、後に、ひとつのグループとして進化していく前触れだった言える。
 
これを機に、Fire B はメジャー進出に大きく動き出すが、Yoyo-Cがここでが脱退。以降、ソロとして独自の音楽世界を創造して行く。今、改めて時系列に並んだベスト・アルバムの中で「Fire Ballのテーマ」を聞き直すと、彼の声の存在感に気付く。
 
メジャー進出の際、Fire Bは自ら「ハイテク」というテーマを課し、ハーモニーと複雑な掛け合いを全面に打ち出し、それまでシーンになかったスタイルの「ひとつのグループ」へと進化を果たした。それはマイク・リレーともユニゾンとも違う高い音楽性を問われるものだったと言える。
 
「ライヴでのお客さんの反応とかも、“Fire Ballのテーマ”以降、変わったな、って感じはあったね。こういう感じでいいんだ、みたいな感触があったと思う」(Jun 4 Shot)
 
「“Bring It On”が出来た頃かな。やっと何となく形が出来たかな、って思えたのは」(Truthful)
「最初は全てが手探りの中でやっていたから、ファースト・アルバムを作りながら,同時にFire Ballというグループも作っていった、っていう感じだね」(Criss)
 
以降、年イチのオリジナル・アルバムをリリースという、ハードな制作活動を続け、作品毎に様々な実験を繰り返してきた。ヴァイブス満タンの1枚目。「よりコアに」を目指したセカンド。横浜(=現場)回帰を意識したサード。コンセプチュアルな世界観で統一された4枚目。そして、その音楽性は、前作、5枚目の『Sounds Of Revolution』で、ひとつの高みに到達した感がある。同アルバムは、深みを増したサウンドに加え、メジャー・デビュー以来、メンバーがばらけたコンビでの曲も収録したりと、余裕と貫禄を感じさせる内容だった。
 
同時に、Fire Ballの活動とシンクロする様に、「横浜レゲエ祭」も、八景島、みなとみらい、横浜スタジアムと、拡大成長を続けてきた。多くのアーティストが、現在のシーンの隆盛に貢献して来ているが、彼等のフロンティア精神が大きな役割を果たしてきたことに異論を唱えるものはいないのではないだろうか。
 
「今までやって来た複雑な掛け合いとかコーラス・ワークは、誰にも真似出来ないFire Ballを作り上げるために絶対必要だったことなんだ。オレたちがいろんなことに挑戦してきたのは、オレたちの音楽が “ファイト・ミュージック”だからなんだよ」(Chozen Lee)
 
彼等は戦い続ける。ジャパニーズ・レゲエを取り巻く環境も、今後、何時、どの様に変化して行くかも予測もつかない。だから我々はFire Ballの戦いを見守り続けていくしかないのだ。
 
「The Best Of FB」(初回盤)
Fire Ball

[EMI / 2CD+DVD / TOCT-26284]


「The Best Of FB」(通常盤)
Fire Ball

[EMI / 2CD / TOCT-26286
 
 









FIRE BALL DISCOGRAPY

[singles]

1st Single
「LIGHT UP THE FIRE〜FB:着火のテーマ〜」
TOCT-4449
2003/1/29




2nd Single
「KICK UP」
TOCT-4506
2003/5/28




3rd Single
「アンジェリータ」
TOCT-4589
2003/10/8





4th Single
「UNDER THE BLUE LIGHT〜ハマのテーマ〜」
TOCT-4696
2004/4/21




5th Single
「Joyful Days」
TOCT-4823
2005/2/23





6th Single
「キットヒット
〜踊るカルマン〜」
TOCT-4858
2005/4/20





7th Single
「撫子MANGO FRUITS -FBDB-」with BACK DROP BOMB
TOCT-4913
2005/9/22




8th Single
「BIRDMAN」
TOCT-5006
2006/5/17




9th Single
「PLACE IN YOUR HEART」TOCT-40015(CD+DVD)TOCT-40016(CD)
2007/6/6




Concept Single
「Dancehall Fiesta
〜レゲエ祭のテーマ〜」TOCT-22250
2004/7/28

 
[albums]



1st Album
「火の玉」
TOCT-24829
2002/6/19




2nd Album
「BOOK OF LIFE〜炎の章〜」
TOCT-25067
2003/6/27




3rd Album
「FIST AND FIRE」
TOCT-25377
2004/6/23




4th Album
「999 MUSICAL EXPRESS」TOCT-25685
2005/6/8




5th Album
「SOUNDS OF REVOLUTION」TOCT-26045
2006/7/12


 
[DVDs]



PV & Live DVD
「FB THE MUSIC VIDEO AD2001-2005」
TOBF-5354
2005/2/23




Live & Document DVD
「横浜レゲエ祭2003」
TOBF-5254
2003/11/12




Live & Document DVD
「横浜レゲエ祭2006」
TOBF-5502
2006/11/22

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