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Elephant Man
Get Physical
 
Text by Thunder Killa / Photo by Joseph Cultice
 

約4年振りに全世界に向けメジャー・アルバム『Let's Get Physical』をBad Boy(!)とVPの共同制作にて堂々完成、日本先行発売となったダンスホール、ニュー・ダンスのアイコン、エレファントマン! 今回は届けられたこの最新作を聴きつつ、彼自身の発言も交え、聴きどころ、注目曲を紹介してみたい。
 
前のアルバムとなる『Good 2 Go』から4年(!)と言えば一昔の様に感じるが、ジャマイカのシーンでの活躍は相変わらずなんで、コアなファンからすれば別段久し振り感は無し。とは言え、北米及び全世界をターゲットとなるとそうは行かないのだろう。この間、『Over The Wall』(もう懐かしいコトバだねぇ…)なるアルバムが、発売予定として街中にステッカーが貼られるまでしながら未発売で終わり…なんて事もあったが、その辺りの顛末から。
 
「『Over The Wall』はDef Jamからリリースされる予定だったんだ。でも当時レーベル内で揉め事があって、VPからストップが掛かっちゃって。そんな時、P.Diddyが声を掛けてくれてね。Bad Boyのある奴がDiddyに俺のパフォーマンスを一度観た方がいいって言ってくれて、Hot 97主催の俺が出たショーを観に来てくれたんだ。で、俺のステージを見終わったらすぐに駆けつけてくれて『エレファント、一緒に仕事しよう』って言ってくれたよ。それからVPとDef Jam、弁護士、それにBad Boyとの話し合いになり、色んな事をクリアにしてからやっと正式にBad Boyとの契約にこぎつけたんだ。だから今回のアルバムをリリースするのにこんなに時間がかかったんだよ」(Elephant Man。以下括弧内発言は全て彼によるもの)
 
そんなP.Diddyとのリンクが見事に反映されたのが今作であり、北米マーケットを非常に意識した、それでいて、ここがこの男の“押し出しの強さ”であろうか、その個性は薄れない非常にいいバランスなのである。当然、ゲスト陣もシャギー、バスタ・ライムス、リアーナ、ワイクリフ等々、超豪華である。
 
「バスタとは昔から友達なんだけど、俺がテキサスでショーをやってる時、バスタが俺の事を探してるって聞いたんだ。彼のアルバムで一曲一緒にやって欲しいって。それで曲を書く事になって。そして、俺も自分のアルバムに是非参加して欲しいって頼んだんだ。彼だけでなく、ジャマイカン・アーティストにも参加してもらいたかったから、誰がいいかなと考えた時、シャギーだとすぐ思ったよ。それで、“The Way We Roll”ができたんだけど、クレイジーな曲に仕上がった。リアーナは“Pon De Replay”をやった時から、自分のアルバムに参加して欲しいって頼んでたんだ。レコーディングした曲はもともと『Over The Wall』に入る予定だったんだけど、結局リリースされなかったから、今回このアルバムに入れる事にしたんだ。この曲は彼女の今のヒット曲“Umbrella”なんかよりもずっと流行るはずさ。女の子達にきっとウケて、みんなワイルドになるはずさ」
 
リード・シングルとなる「Five-O」にはワイクリフと今作のキーマンとなるP.Diddyが参加。意外にもバンド感のある音でのヘヴィな曲に仕上がっている。その内容も軽妙、お気楽が身上だった今までのエレファントとは一線を画すものだ。
 
「世界中どこに行っても、ポリスはいるだろ。中にはまともなポリスもいるけど、ろくなポリスは殆どいないのが事実だ。悪い奴を捕まえるポリスはいいけど、何も悪い事をしてなくてもむやみに逮捕したがる奴がいる。パリス・ヒルトンやらリンジー・ローハンやらもどうでもいい車の違反で捕まったりしてる。そんな時、『世の中問題なのはお前らポリスの方じゃないか』って思ったんだ。だから俺はこう歌うんだ。『調べても調べても調べても、何も見つかりゃしない。捜しても捜しても捜しても、何も見つかりゃしない。奴ら、捜索だとかいって話をでっちあげようとしてる。弁護士が助けてくれたけど、俺は取り調べを受けている』。もし、吸ってたり、運転中に酒を飲んでて、ポリスがやってきたらどうにかするんだ。隠すなり、飲み込むなり、とにかく青いライトが光ったら自分でどうにか捕まらないよう工夫するんだ。絶対、奴らに捕まったりするんじゃない。俺はお前らのために悲しんでやったり、釈放してやったりできない。だから自分達で用心するようこの曲を作ったんだ。“Five O”は、みんなへの警告の曲だよ。例えキミがいい奴でも悪い奴でも、泥棒でも、牧師でも弁護士でもね。『調べても調べても調べても、何も見つかりゃしない。オーオーオーオー』。気をつけろ、Five Oはどこにでもいるよ」
 
ここでちょっと、この原稿の裏話的な話になっちゃうんだが、元となるインタビューが録られたのが今年6月のニューヨーク。曲が出揃った段階だったようだが、リリース直前に僕が手に入れた収録曲が決定した音源には入らなかった曲の話が多かったのがホントの所だ。恐らくタイトル曲の予定だったろう「Let's Get Physical」もオリビア・ニュートン・ジョンのアノ曲からのインスパイアされた曲との事だし、エリが得意とする“替え歌”路線の曲は権利の問題でダメだったのだろう。只、これが全体として聴いてみると功を奏しているとも言えるのだ。“替え歌”路線が封じられた分、本来持っているスキルの確かさやトピックの豊富さが新鮮に響き、豊富なゲスト陣と共に前作からのステップ・アップを際立たせる事に成功している。
 
「俺のモチベーションは神様だよ。神様が与えてくれた才能を無駄にはしたくない。ハイプな事や今流行ってる事だけに集中してはダメなんだ。自分が将来何をしたいのか、自分の進みたい道を考えなければならない。そんな時は神様にお祈りするんだ。自分の望んでるところまで辿り着きたい、そしてそれを超えたい、ファンのためにいい音楽をどんどん作っていきたいって。でも、そうするためには悪い事に巻き込まれちゃいけないんだ。例えそうなったとしても、どうにかそこから自分で抜け出さないといけないんだ。完璧な人間なんていない。でも、自分の事は自分でなんとかしないと。まず神様が一番。そして自分自身を愛する事。他人をリスペクトし、人生で何を求めてるかを知る事が大切だ。金のために音楽をやってるなら、一度金を儲けたらその金を持ってもう二度と戻ってくるな。もし本当に音楽を愛して将来アイコンになり、本に載るようなアーティストになりたいなら、心から音楽と向き合うんだ。そしたら神様が力をかしてくれるはずだ。
 
『Let's Get Physical』
Elephant Man

[Victor / VICP-63857]










ELEPHANT MAN ALBUM DISCOGRAPHY

「Scared From The Crypt」Scare Dem Crew [TVT / 6440](1999)


「Comin' 4 You!」[Greensleeves / GRELCD261](2000)


「Log On 」[Greensleeves / GRELCD266 ] (2001)


「Higher Level」 [Greensleeves / GRELCD270 ](2002)


「Good 2 Go」 [VP / Atlantic / WPCR-11763] (2003)


「Monsters Of Dancehall The Energy God」
[Greensleeves / GRELCD605] (2007)


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