リディム・オフィシャル・ウェブサイト
THE MAZE

(U KNOW)What the deal is
　
アメリカでの凶悪犯罪が1.3％増えたと日系のニュースではレポートされたが、NYのケーブル・チャンネルのニュースでは、NYが大型都市では最も安全となったと報道された。この温度差は、ある種のプロパカンダを感じるが、ニュースや新聞を見ている限りでは、決して安全とは思えない。実際、先週のメモリアル・デイという戦没者や退役軍人を讃える祝日には、NY各地で発砲事件があり、ジョン・F・ケネディ空港の爆破計画に関わったとされる者達が逮捕されるなど、住んでいるものは単純に安心出来ない場所である。しかし、NYの日系向けのTV番組では、ブロードウェイで活躍する女優やミス・ユニヴァースのインタヴューなどの目白押しで、こういった危機感は感じられない？
　
●今月の入所
2月に草バスケットボール・ゲームで相手のチームのプレイヤーに暴行を加え、更に銃を出し脅したとして逮捕され、5万ドルの保釈金で保釈中のゲームに、実刑が下りそうだ。検察が要求している5年の刑期をくらいそうな彼だが、6／5、その判決が下る。まあ、刑務所に入って男になって欲しいもんだ？
　
●今月のジャム
2003年から続いているクロトナ・パークでの野外ジャムが今年は、多くのロケーションを増やし開催される。グランドマスター・キャズ、シオドロ、ロブ・スイフト、DJスクラッチなどをゲストとして迎え、ハーレム・パーク、クイーンズブリッジ・パーク、マーカス・ガーヴィ、ジャッキー・ロビンソン・パークなど、地区を越え、さらにグレードアップした内容で6月から8月にかけて毎週行われる。この主催者の一人であるポップマスター・フェーブルの古巣、数年前から勢いがなくなったロック・ステディの恒例のジャムは、今年は行われないのか？
　
●今月の逮捕
ラフ・ライダー・レコードの社長の一人、ダリン・ディーンが銃の不法所持と、コケイン所持で5／31に逮捕された。最近、音沙汰が無い彼らの久々のニュースだが、サファーンというNYはアップステイトのディーン氏の自宅付近で警察に止められた車から、マリファナの匂いがしたため、警察犬に捜査させたところ、バンの床に隠し扉があり、コケインが1.5キロ出てきたと警察は発表した。ラフライダースは、DMX、イヴ、スイズビーツ、ロックスなどを輩出したNYベースのレーベルだが、暴走族でもあり、警察からは常に監視されていたとのこと？
　
●今月のジャム2
セネガル出身のゴービー・システムというクルーがブルックリンはBamカフェで5／26にライヴを行った。彼ら独自の政治観や西側に影響されたラップスタイルを盛り込んだステージは、かつてのパブリック・エネミーやBDPを彷彿させるものだった。残念ながら、西側ヒップホップからのオーディエンスは少なく、事情通、オタクっぽいオーディエンスが熱く迎えるだけとなっていた？
　
●今月のパレード
ヨーロッパやアジア諸国では既にムーヴメントとなっているダンス・パレードがNYで初めて5／19に行われた。ラヴ、ダンス、ユニティを唱ったこのパレードだが、バーニングマンというイヴェントの要素に、ブレイキングからバレエまでのダンスをカヴァーするという趣旨を持つ。参加したDJは、クール・ハーク、ジェリービーン、DJリポマンなどがヒップホップに所縁があるメンバーだった？
　
●今月の矛盾
最近、レクチャー活動をはじめているパブリック・エネミーのプロフェッサー・グリフが、“ヒップホップ・イズ・デッド”と銘打った講演でツアーをしている。KRS1とモリー・モールのカップリング・ツアーも今全米を回っているが、こちらは“ヒップホップ・リヴス（Hip Hop Lives）"ツアーという名称。俺はどう思っているかって？
　　
沼田 充司
DJ／プロデューサー。 レーベル＜ブダフェスト＞主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]