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292    COLUMN    UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Janet Kay
 
Greetings Friends,
 
●今月はまず、現在のレゲエ音楽におけるトレンドについてから書きたいと思う。殆どのシンガーやDJは好きなアーティストのスタイルを真似することからキャリアをスタートさせる。DJならU-Roy、Big Youth、Lone Ranger、そしてShabba Ranksが若い世代のアーティストに影響を与えている人物だろう。最初は単なるコピーにすぎないが、時間が経つにつれそのアーティスト独自のスタイルに変容していくものだ。しかし、有名アーティストの単なるモノマネのようなシンガーが増殖。ラジオのDJが名前を読み上げなければ一体誰が歌っているのか見当がつかないことが多いのだ。Sizzla、Capleton、Anthony B、Luciano、Garnett Silk、Buju Banton、Ghostなどと瓜二つのスタイルの曲をラジオは延々と流し続けている。このような閉塞感漂う現状で唯一、新風を吹き込んでいるのがTess Ann Chinのような女性シンガーの躍進だろう。彼女らは一世代前の女性シンガーよりも情熱的でガッツがあるように思う。レゲエではR&B/ソウルのように女性シンガーが男性と対等に活躍しているとはいい難い。今までレゲエにおける女性シンガーは、男性優勢のレゲエ界において一部の例外をのぞき、バッキング・ヴォーカルなどの脇役に徹するしかなかった。Janet KayやCarroll Thompsonでさえも泣かず飛ばずの時期があったほどだ。ほとんどの女性シンガーは1、2曲発表しただけでどこかへ消えてしまうのである。そんな中、日本だけが男性と女性のレゲエ・シンガーが共に同じ土俵で切磋琢磨している環境にあるといえるだろう。新世代の女性シンガーをサポートする組織があるならば、僕の名前を是非加えて欲しい。
 
●今、イングランドで大注目なのが2001年からKingstonに住んでいるイタリア出身のシンガー/マルチ・ミュージシャン/プロデューサー、Alborosieだ。7インチ「Herbalist」がヒットするや彼は立て続けにシングルをカットしヒットさせたのだ。Kiss FMのDJ、David RodiganはAlborosieのチューンをヘヴィ・ローテーションし、彼の曲を積極的にプロモーションしている。彼の最新作「Kingston Town」はリリック的にDamian Marleyの「Welcome To Jamrock」と同じテーマを扱っていて、すでにイングランド、ヨーロッパそしてジャマイカで話題の曲だ。この新進スターについてもっと知りたいならばwww. myspace.com/alborosieでチェックできる。
 
●知らない人のほうが多いと思うが、実はヨーロッパ最大のレゲエ・フェスは毎年イタリアで行われているのだ。
 
●ジャマイカのベテラン・ラジオDJ&クラッシュ・スペシャリスト、Barry 'G' Gordonがエイズになったという噂が流れている。しかし、本当のところ、彼はMontego Bayからフロリダに向かうフライト中に動脈瘤を起こし、入院していたのだ。今年50歳になる彼の病状は徐々に回復しているらしいが、しゃべることが困難な上、呼吸器系の発作も併発していると伝えられている。病状から察するに、おそらく彼は現役引退をせざるおえなくなるだろう。もし、彼が動脈瘤をフロリダからMontego Bayに向かう飛行機に乗っていて、ジャマイカで入院していたら、おそらく彼は生き延びることができなかっただろう。彼の回復を祈る。
 

Frankie Paul
 

●2006年3月31日はZestが正式にGreen-sleeves Recordsのオーナーになった日だった。最近、チーフエクゼクティヴ(つまり社長だ!)のSteve Weltmanが彼自身の経歴およびGreensleevesの未来について語ってくれた。彼のキャリアは1960年代後半、まだ産声を上げたばかりのCharismaレーベルに参加したことからスタートする。その後、1969〜1972年の間Trojanで働いたのち、レゲエ以外のジャンルをRCAで担当する。彼は80年代初頭、再びCharismaに戻ってくる。そしてCharismaで短期間しか存在しなかったレゲエ・レーベル、Preの旗揚げを主導。PreではGregory Isaacsの『Lonely Lover』『More Gregory』を81年から82年にかけてリリース。1980年代後半にWeltmanは自身が主宰するマネージメント会社を設立する。2003年から2004年にかけてジャマイカやアメリカで仕事をこなし、2005年に彼はZest社を立ち上げ、Greensleeves買収を模索し始めたのだ。新生Greensleevesのアーティスティック・ディレクターにはNew Yorkを拠点にしているDave Kusterが就任した。
 
NYはUKに比べてジャマイカへのアクセスが良く、情報収集もしやすい。彼によれば、いわゆるワン・リディム・アルバムや、昔のGreensleevesのようにライセンスものや再発アイテムを乱発するより、新人をゆっくりと育てていく方針をとるらしい。もちろん、名曲・名盤の再発は今後も続けていくようだが、それがCDやアナログでリリースされるとは限らないようだ。新しくなった同レーベルはネットの音楽配信に力を注ぐようで、これがレゲエ・ファンに受け入れられるかどうかはまだわからない。あの愛すべきレコードが消えてしまうのだろうか? 今後のGreensleevesの動きに注視したい。同レーベルからの最新リイシュー・タイトルはCoco TeaがExterminatorのためにカットしたセット(1994)、レアなUKのグループCapital Lettersのヒット・シングル「Smoking My Ganja」を含む『Headline News』(1979)。ガンジャ・チューン好きには今昔のソレらしい曲を集めた『Hi Grade Ganja Anthems』がオススメだ。Frankie Paul、John Holt、Barrington Levy、Carlton Livingstone、Triston Palma、Bounty Killer、Beenie Man、そしてCapletonが歌ったマリファナ賛歌を聴くことができる。全てがGreensleeves音源であることもうれしい。残念なことにガンジャとラッピング・ペーパーの付録はついていない…。
 
●数年前に厳しい銃規制法を施行したにもかかわらずUKでは銃犯罪が増加傾向にある。銃犯罪といっても銃を使った強盗のような単純なものではなく、ほぼ毎週、ティーンネイジャーが発砲事件を起こし犠牲者がでているのだ。事件は都市部に集中しており、犠牲者は黒人が圧倒的に多い。ギャング間の抗争や無差別殺人が毎日のようにマスコミを賑わせている。そんな状況下で登場したのがMaxi Priest とRichie Stephensのコンビネーションによる「Rude Boy Cry」。日々起こる意味のない暴力事件に対して感情を剥き出しにして異議を唱えるチューンだ。実は、前出のMaxi PriestとPeter Hunnigaleが出演予定の銃犯罪撲滅をテーマにしたオペラがUKで近々公演されるらしい。オペラは「Don't Trigger」(直訳:撃つな)というキャンペーン・グループと共催だ。銃犯罪撲滅のためのパワフルな武器となりえるといいのだが。
 Till Next Time, Take Care...
 
(訳/Masaaki Otsuka)

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