リディム・オフィシャル・ウェブサイト
THE MAZE

"Fyah Muma"
Text by Reiko NAGASE SMITH（協力：アイランドツアー）
　
Queen Africaは、トニー・レベルのフレイムス・プロダクション所属アーティスト。通称Fyah Muma（ファイア・ムマ）＝燃える母ちゃん。ラスタ系のステージ・ショウではお馴染みのアーティストで、強いチャントと濃いステージングには定評あり。これだけ多くの男性ラスタ系アーティストのなかで、クィーン・アフリカはごく少数派の、いや、ほかに例のないファイアー系ラスタ女性アーティスト。
　
歌のキャリアもラスタファリアン・ライフも長い彼女。ナイヤビンギから音楽に入った正統派。強い意志を感じさせるルックス。それでいてファッションは、こってりラスでもなく、ルーツを芯にしながら今風エッセンスにお洒落。
　
自分自身と環境をピースフルにしていたいと語る。だからFyah Mumaは、注意を惹くためのコマーシャルなファイアじゃなくて、We burn weself first。人のこと、バンしないで自分をかえりみるってとこ、いいじゃない。人をバンせず罪を焼き焦がす。
　
「Below The Waist」が味わい深く、クィーン・アフリカ流のメッセージ・ソングに仕上がってます。PVとともにヤードでストライク中。
　
Mi and mi lover just always a fight（あたしと彼氏は毎日喧嘩ばっか）
But him know whe fi do fi make mi smile get bright（でもって彼氏は心得てて）
We war and him lef and nuh come back（喧嘩のあと、ぷいっと彼氏出て行くの）
Til late inna di hours wid a bunch a di nicest flowers（で、数時間後にナイスな花束抱えてもどってくるわけ）
Even though mi vex til mi blood a boil（すっごいムカついてアタマ沸騰してても）
One look below di waist and mi humble like a child（なんていうか、腰より下の方見ちゃって、あたしは子供のように言うこときいて…）
....mi nuh memba yere suh（ってつまり、ねえ、わかるでしょ）
　
おやおやしゃあないな。なんでそうなるかいな。ジャマイカにありがちな、ラブラブなのにトゥー・ホット、烈しすぎて燃え尽きてしまう男女関係を、シニカルに描いてる。Bun Himネタでも決して男をバンしないところに、彼女のポリシーが見られる。
　
Yuh know mi nah go knock yuh down, baby
Now mi jus waan hold yuh down, baby
Him seh gwaan go put on yuh thong, baby
An before you know it is a annoda baby
　ちょっとえっちなリリックが、チャントで聞かせてる。
　
Help out wid di kids（子供の面倒ちゃんとみて）
Pay di bills on time（家賃や月々の支払いも遅れないでよ）
Nuh nasty up mi house when mi jus done shine（掃除したばかりの家を、ちらかさないで）
　辛い現実も笑いで飛ばす、彼女独特のポエムがある。
　「Put On Yuh Thong Below The Waist」、ペントハウスより。
　
海外ツアーにでるかたわら、小さなステージ・ショウや島中の学校でパフォーマンスするクィーン・アフリカ。ジャマイカ初の女性首相ポーシャ・シンプソン・ミラーも、クィーン・アフリカを好きなアーティストに挙げてます。
　
ラスタ系またきてます。ルータン・ファイアの再ブレイク、絶好調なターラス・ライリー、ルーツ色が濃くなって勢いのあるデリ・ランクス。新しいとこでは、一癖ありそうで土臭いMunga（ムンガ）、いち押し。
　
コンシャス系のニュー・アーティストの活躍も目立つ。「Music Alone」でブレイクのGinjah（ジンジャー）、Warrior Kingとの「Holy Words」で聴かせるBescenta（ベッセンタ）など、一口にラスタ系アーティストといっても滅茶バラエティあり。
　
そして遂に、Jah Cureの出所間近。Longing For。「Cure Fest」なる祝出所イベントが大々的に催されることが予定されている。Good haffi go fight. Bless!