"Dem Seh Nuh Care"
Text by Reiko NAGASE SMITH(協力:アイランドツアー)
 
ジャマイカでアンチ・ゲイの話は今さらだけど、最近ゲイ関係の事件がつづき、ちょっとしたテンションさえ感じる。スター紙やXニュースの見出しは大きく赤字で「ゲイ」が決まり。炎熱中。
 
ジャマイカ人のゲイ・バッシングがいかに激しかろうと驚かないけど、最近のゲイ関連事件やその関連記事は、単純なものから一段階上がったようである。
 
生粋ヤードマンに言わせると、Too much of this funny guy ting pon de street. ストリートでファニー・ガイ(ゲイのこと)現象が起こってる。今までなかったものが、もう普通になってさえいるよ。
 
あれだけ色んなチューンの中でタイトパンツの男がBunされてたのに、今やタイトなパンツの男はダンスで主流である。そうじゃないのは過疎村のダンスくらい。
 
眉毛を剃ったり、耳はおろか眉や口元のピアス。硬派オールド・ジャメーカンには、おおお嘆かわしい。シャツというよりブラウス。ヤードマン風じゃないよ。ピンクを着こなすお洒落な男もふえてる。男なんだか女なんだか、Caan tell who a who again誰が誰だかわかんなくなるよなファッション。これも、ジャマイカが進化していく過程のひとつかな。
 
ジャマイカで、同性愛者は自分たちの権利を求めるデモやマーチなどできない状況にある。彼らのライフ・スタイルに、フィットする社会を期待など、できるだろうか。願うのは、一日一日を無事に生き延びることだけ。生きるどころか、死ぬことだってままならない。葬式や埋葬まで否定されるケースもあるんだから。
 
Step up inna front line fire fi di man dem weh go ride man behind.....
Sodomite and b**ty bwoy mi seh a death fi dem.....

 社会的いじめのこの現象、先日カントリー・サイドで、女装で葬式に参列した男がほかの参列者の怒りをかい、暴動になるという事件が起きた。ジャマイカの男が女装だなんて、たとえばスティング会場の女子トイレとかでウィッグ男が出現しても、金品目当てなのは明白だったけど。本気で女装して教会に行くなんてことがジャマイカで起こるなんて、耳を疑うような事件だ。
 
モンティゴ・ベイではカーニバル会場で、女性のような動きで踊った男性のグループがリンチにあった事件。驚くのは、群集に痛めつけられたことじゃなく、彼らが反撃したという事実、ゲイの人たちが抵抗する、ということだ。反撃したことで群集の怒りをかったわけだが、何も悪いことはしていないという意識があらわれている。
 
イースト・キングストンで起こったレズビアン撤去デモ騒動もそう。レズビアンたちが見せつけるようにおおっぴらな行為をして住民の怒りをかい、その地域を追い払われたという話。インナー・シティー地区(ゲットーをさすお上品な言い方)で、そんな行為を堂々とする、という事実に驚き。まるでNuh Care、気にしないよって言ってるように。

 
同性愛者はジャマイカで、息を潜めて生きるしかないかというと、そうでもなく、ゲイの有名人や文化人はいる(筆者注;レゲエ界ではないです)。ヤードマンのあいだでも彼らがゲイってことは周知の事実。これら有名人は世界がちがう、一線を画しているのだ。同性愛者たちは、彼ら自身で彼らの世界を作っている。そんな世界が少しずつ広がっていってるのかもしれない。
 
HIV保持者がCMキャンペーンに実名で登場するジャマイカ。オーラル・セックスや中絶に関しても、女性アーティストが新しいメッセージを送りはじめてる。

 
ビーニ・マンがイギリスのショウで、バティマンねたをステージで使わないと契約書にサインした。「謝らない」、アンチ・ゲイの立場でいることを宣言しているビーニ・マンの苦しい決断です。
 
さて、スター紙などに、ゲイやギャングねたと同じくらい登場するスキャンダラスな人、ビーニ・マン。早くも出た、D'Angelとの不仲説。
 Dem Seh Nuh Care.

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