Richie Spice
In The Streets To Africa
 
Interview by Minako Ikeshiro / Photo by William Richards
 

今世紀に入ったから起きた新世代ラスタ・ブームの筆頭株にして、すでに安定した人気を誇るリッチー・スパイスが新作をリリースする。ここ数年のヒット曲と新曲をバランス良く混ぜた『In the Streets to Africa』は、期待を裏切らない完成度の高さ。映像インタヴューとアコースティック・ライヴを収めたDVD付きの三作目を完成させた本人に直撃インタヴュー!
 
●前作から3年半経っていて、その間、たくさんのヒット曲がありましたが、それを15曲に絞るのは大変だったのでは?
Richie Spice(以下R):曲としての完成度が高いのも大事だけど、全体の流れにうまくハマることも大事だよね。本と同じように1章、2章という風になっていた方がいいから。アルバムの流れに沿って、曲を選んで行くんだ。
 
●「Open The Door」でマーティン・ルーサー・キングの声をサンプリングしてますが、自分のアイディアでしょうか?
R:いや、ほかの人に提案されて、俺も同意したんだ。
 
●「Youths Dem Cold」は "Truth And Rights" リディムで人気が出ましたが、ジョニー・オズボーンからコメントはありました?
R:直接コメントはもらってないけど、最初に許可はもらっているよ。あのヒットもオリジナルも改めて注目されたし、レゲエ業界のいいところがいい形で出たとは思う。自分で歌っていて楽しいしね。
 
●スタジオ・ワンの曲やトラックでほかに使いたいものはありますか?
R:もちろん、いっぱいあるよ。スタジオ・ワンの曲はインストだけでも際立つようないい曲がたくさんあるからね。今と違ってまずトラックを完成させてから歌い手を決めるやり方だったことが関係あると思う。
 
●スタジオ・ワン出身で好きなシンガーは?
R:シュガー・マイノットやデニス・ブラウン、グレゴリー・アイザックスが好きだ。彼らその時々に新しいことに挑戦するタイプのシンガーだから。
 
●ジョセフ・ヒルとの曲(「Digital Ways」)はいつ作ったのでしょう?
R:06年の頭。だから、訃報が届いた時はびっくりした。
 
●彼とは一緒にスタジオに入ったのでしょうか? どんなことを学んだのでしょう?
R:一緒にはスタジオに入らず、連絡をもらってトラックを聴いて声入れをしたんだ。でも、ニューヨークのショウで話したことはある。俺の音楽はすごくいいって褒めてくれてね。とても気に入っているし、自分がやってきた音楽に近い気がするとも言ってくれた。だから、彼から声がかかった時は二つ返事で引き受けた。
 
●「Brown Skin」は「茶色い肌」と表現したことで、ブジュ・バンタンの「Love Me Browning」と同じ議論を巻き起こしたようですね[注]。
R:俺は、「Black Like Tar」を作った時と同じように、自分の肌の色に自信を持て、という気持ちを込めてあの曲を作ったんだ。それが、間違えたように取られてしまった。「Brown Skin」は黒人の女性の美しさを称えただけで、肌の濃淡は全く関係ない。
 
●ジャマイカでは肌の濃淡はいまだに問題になるようですね。面と向かって批判されたことはありますか?
R:あるよ。「Black Like Tar」のヴィデオ撮りの時に、普通の人にカメラを向けたら怒って歩き去ってしまったこともあったし。肌の濃淡で人を分ける考え方はまだ根強いんだよね。人間は一つだし、黒人も一つの人種なのに。
 
●「Grooving My Girl」はファースト・アルバムに収録されていた曲ですが、これを歌い直した理由は?
R:あの曲は未だに人気があって、どこで聴けるのかよく尋ねられるからみんなのリクエストに応えたんだ。
 
●思い入れのある曲は?
R:それは選べないよ。俺は丁寧に曲を作る方だし、レコーディングの時もプロとして細心の注意を払って歌っている。そうやっているうちにどの曲も自分の一部になるから、ステージでは1曲1曲楽しんで歌っているんだ。それぞれの曲に込めたメッセージも違うし、全部大事だね。
 
●あなたのバックシンガーだったエターナが最近、活躍していますよね。
R:俺と一緒に活動しているうちに、いろいろ経験して覚えたからいい訓練になっていると思うよ。自分の活動で忙しくて、彼女の音楽作りには参加できていないけど。彼女はとても才能あるし、リリックに関してはアドバイスをしている。
 
●音楽以外の趣味はあります?
R:いろいろあるけど、最近は動物を育てているのにハマっているね。
 
●何を飼っているのですか?
R:鳥も飼っているし、犬とウサギもいるよ。自分で餌をあげる時もある。
 
●ウサギ、いいですね。
R:今度、ジャマイカに来たらつがいであげるよ。
(………マンハッタンで飼えないってば)
 
[注]肌の色の薄い女性を好むようなリリックだったことから、90年代初頭に問題になった。
 
「In The Streets To Africa」
Richie Spice

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